2006/02/06

逃避

昨日今日と自宅でやるべき事もやらずに現実逃避に走っている。
先日到着した「白い巨塔」一気見をやってしまった。
意志の弱い自分だ。こうなる事は何となく予想していたが。

一つの主張だけが存在しそれを見ている者に押しつけてくる作品が多い中、
このドラマはいろんな見方が出来るのでとても面白い。
どこまでも正しさを追求する姿勢は時に子どもっぽく見え、
その正しさを狡猾に利用する事で裁判を有利に運ぼうとする弁護士がいて、
全てを手にしたと見える天才外科医は作品を通して「空虚と死」に対峙する。
先日見た映画「ミュンヘン」もその部類に入ると思われる。

ただ、幼稚園児の頃、先生に「将来の夢は?」と聞かれ、
「白バイの運転手」「パイロット」という友人の中、
迷わず「天才外科医」と言ってのけた自分だ。
ドラマに「外科医」「裁判」というだけで十分なのだが。

そして緊張感溢れるいちいちとカッコイイ演出がニクイ。
執刀中部下のミスにより大出血が発生し心停止を起こした患者を、
的確な指示と迅速な対応で蘇生させてしまう財前教授。
証拠保全をしに浪速大医学部附属病院へ勢い良く乗り込んで、
カルテ改竄箇所を見つけ医師を睨みつける関口弁護士。
嗚呼、もうゾクゾクしてしまうでわないか。

さすがフジテレビ45周年記念ドラマ。役者もスゴ腕が揃っている。
関口弁護士を演じる上川隆也は無名塾のオーディションに落ちたものの、
「大地の子」で共演した仲代達矢がその件で頭を下げたという逸話を聞く。
教授の診断に疑問を持つ気弱な医師にカルテ改竄の是非を問うシーンは秀逸。
さらに秀逸なのは渦中の患者を解剖し、解剖医として出廷する大河内教授。
これぞ「医学博士」という風体と喋り口がたまらない。品川徹という人だそうだ。
財前教授を演じる主役唐沢寿明の「無念だ」というセリフは琴線に触れるものだった。

エンディングに流れる「Amazing grace」の旋律はかくも心に響くものなのか。
歌の根底に流れる本来の意味である「解放」というキーワードが、
一見相反するように思えるこの物語のテーマとどこかで重なりあっている様に感じる。

今日は「白い巨塔」を見ながら普段よりも負荷を下げてダラダラと漕いでみた。
体をびっくりさせない様リハビリ期間を設ける事にしたためだ。
明日もこの調子でエクササイズを行い、徐々に体を慣れさせて行かなければ。
ある意味これも「解放」だろうか。肉体の解放と言えば聞こえは良いが。
これとはもっと違う「解放」を得るべきなのではという自問を覚えつつ。

2 Comments:

Anonymous 匿名 said...

確かにこれは素晴らしいドラマですな。
私も遅れてハマりました。

旧作の田宮二郎版『白い巨塔』も見ましたが、結末が全然違っていてそれはそれで面白いですよ。

火曜日, 2月 07, 2006 6:36:00 午後  
Blogger kazufuruk said...

いらっさいませ。何の躊躇もなく「白い巨塔」大人買いした kazufuruk です。
ふつうは「24」とか行くよな。後になって気づいたよ。

kayatsuyo> 旧作の田宮二郎版『白い巨塔』も見ましたが、
kayatsuyo> 結末が全然違っていてそれはそれで面白いですよ。

旧作は以前、ケーブルテレビの番組で前半見ました。
なるほど田宮財前は「ナタ」で唐沢財前は「カミソリ」という表現は当たってる。
へぇ、結末違うんだ。見てみたいな。時間が合わなくて後半見てないのですよ。

水曜日, 2月 08, 2006 12:51:00 午前  

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