2009/05/19

ダメ人間外伝「昔取った杵柄であり続けるために」Vol.1

きっかけは Jeff Beck 日本単独公演を見に行った事だった。

彼の演奏にはロックギターのテクニック、気持良さ、カッコ良さ、
いや、「全て」が詰まっていると言っても過言ではない。
彼の放つあらゆるトーンが突き抜けている。
彼こそがエレクトリックギターの天才という名にふさわしい。
ホントに凄いヒトとは存在するものなのだ。

「Jeff Beck は凄い」と思っているヒトは多いが、
「Jeff Beck が好き」と公言するヒトは意外と少ないのではないか。
自分の知っている限り学生時代に一人、社会に出て二人しかいない。

かく言う自分も「好き」と公言出来る程彼の作品を多く聴いてはいない。
代表的なアルバム数枚を押えている程度のものだ。
その中には学生時代ライブで演奏した曲も含まれているのだが、
もの凄く難しくてもの凄く手こずった記憶と、
フルマラソンを完走したかの如き達成感と疲労感しか無い。

なので実は直前まで彼の公演にあまり期待を持てなかったのだが、
演奏が始まるとそんな思いはふっ飛んでしまった。
MC も無く淡々と演奏が進んで行くそのライブには、
正しくこれぞ第一線の、紛う事無き世界最高峰の、
背筋も凍るかと思う程の凄まじいプレイが炸裂すると同時に、
「演奏する楽しみ」のような柔らかく心地よい空気に溢れていた。

このパラドックスは一体何だ?
この激る思いは何だ?
真のエンタテインメントとはこれなのか?
ライブスタートと同時にずっと心の中で叫んでいた。
「たのむ。オレもそこに混ぜてくれぃぃ!」


会場である東京国際フォーラムから帰りの道すがらである。
一緒に見に行った昔の仲間(ドラマー)が徐ら言った。

「オレたちこのままで良いのか?」

その刹那、昔の仲間(ベーシスト)が言い放つ。

「日常に埋没したまま手軽な娯楽に怠惰な時間を垂れ流す事が?」

少し間を置いて、自分(ギタリスト)が空気を切り裂く。

「許せん。何故オレ達はあのステージに居なかった?」(酔ってる)

奇しくもトリオバンドが構成できるメンバーであった。
そうか。そうだよな。キミ達も激っていたのだな。
三人同時だったろうか。激る思いに心を任せ、静かに叫ぶ。


「。。。何でもいい。何かやろう。」


コンセプトはすぐに決まった。
「そのまま演らない(=カラオケバンドニハナラナイ)」
「徹底的に楽しむ(=演奏ヲ義務ニシテハイケナイ)」
そして、「否定しない(=ツマラナイ大人ニハナラナイ)」

自宅に戻った自分は、名演に充てられ火照った顔そのままに、
長い事ソフトケースに仕舞っていたストラトキャスターを手にしたのだった。


三省堂 大辞林より。
「昔取った杵柄(=カツテノ腕前ガ今デモ衰エテイナイ)」

2009/02/16

2009/02/16のダメ人間模様

「脳力の衰えに、ただただ恐怖する。」

本来なら「ダメ人間のサーキットレッスン体験記総括」なのだが、
ダメ人間のため案の定まだ総括出来ていない。俄然出来ていない。
実はそれ以上に書き残さなければならないと思える事がある。
そのために、まさにそのために今回の投稿を割く事とした。

自分は物事を考える時、それがどんな内容であれ、
頭に文章が浮かぶ事はほとんど無い。
どんな事もイメージ化された何かがパッと浮かび、
それと関連する事柄がやはり何らかのイメージとして浮かぶ。

「こうすべきだ」という結論に達する時、
「こういう事なのだ」と理解した時、
「こうすればいいんだ」とアイデアが生まれた時などは、
その内容がより具体的な映像となって頭に浮かぶ。
その結論によって辻褄の合う全ての事象が映像として。
その理解を得た過程に登場する全ての因果関係が映像として。
そのアイデアによって新たな価値が生まれる姿が映像として。

この話をすると大概驚かれるのだが本当なのだから仕方が無い。
「一体どんなイメージか紙に書いてくれ」と言われるのも困る。
それは自分の中で「イメージ化された何か」であり、
形を成しているようで成していないのだ。
自分の中であまりイメージが出来上がっていないものは、
イメージが出来上がるまでじっくり待つ。マイペースに幸あれ。

では自分にとって言葉や文章は何かというと、
「イメージ化された何か」を変換し相手に伝えるための、
また何かを捉え「イメージ化された何か」を作り上げるための、
ある程度共通化された手段、手法、規約の様なものと捉えている。
なので「何について書いているか・話しているか」という粒度まで含め、
ある程度の共通化が見出されていないと実はかなりイラつく。
たとえその内容がどんなくだらない事でもだ。
「無意味」と「意味消失」は明らかに違うのだ。
イラつきはなるべく隠してるけどね。出すとガキっぽくね?

そんな「イメージ」で考える自分は、
とある人物の名前を聞いたとしても、
その人物の映像を知っていれば、
瞬間的に必ずその人物の映像が頭に浮かぶのだ。
そう、必ず頭に浮かぶはずだったのに。

つい先日、こんな事があった。
「篠山紀信の息子」の顔を思い浮かべようとしたが、
どうしても頭に浮かんで来る映像が「野口健」だった。
暫くするとようやく浮かんで来たのだが、
うっかりすると「野口健」と区別が着かない映像だ。

もっとひどい事があった。
「橋田壽賀子」の映像が一切浮かんで来ない。
何度思い出しても一切浮かんで来ない。
ついに耐え切れずGoogle画像検索で確認した。
そうだ。。。こんな顔だったよな。

ついに名前すら出て来なくなった。
友人とフレットレスベーシストの名手を列挙していた時。
オレ:「ジャコ・パスよなぁ。」
友人:「ピノ・パラディーノなぁ。」
オレ:「スティーブ・ベイリーは曲芸系かなぁ。」
友人:「あとほら、えーと、、、あれ、BRAND-X のヒト。」
オレ:「あー居た居た、こないだ観た、六本木のライブハウス。」
友人:「あー出て来ない。名前出て来ないぃー。」
オレ:「あれだよ。イスラエルの前衛舞踏家とコラボしたヒト。」
友人:「何それ?そんな事やってたの?」

。。。「パーシー・ジョーンズ」だ。

以前観た若年性アルツハイマー患者の映画「明日の記憶」を思い出した。
。。。恐ろしい。。。ただただ、恐ろしい。。。
明日の自分が、今日の自分を覚えていますように。

2008/12/31

ダメ人間のサーキットレッスン体験記その3

次にサーキットを4つのエリアに分けたセクション別攻略。
セクション中の要所にパイロンが置かれている。
そのパイロンの意味を考えながら1つのセクションを攻略する事に集中。
コース外から見ている講師が一人ずつに無線で問題点を指摘する。
各人が全開でセクションを抜ける度に恐ろしく的確な指示が講師から飛ぶ。
そして各人はそこから自分の課題を見つけ出すのだ。

パイロンの位置に関する明確な説明はされない。
何故そこにパイロンが置かれているか、
そのパイロンは何の目印なのかを自分で考えるという事だ。
今思えばそれはコーナーの頂点(クリップポイント)であったり、
ハンドルを切って曲がる姿勢を作り始めるポイントであったり、
ブレーキを踏み始めるポイントや通るべきラインであったり。

明確な説明をしないのには理由がある。
シチュエーションが変わっても、
つまりそのパイロンを取り去っても、
あるいはこことは違う別のサーキットを走ったとしても、
同じ目的で目印をバーチャルに「自分で置ける」様にするためだ。
「この目印はこういう理由なんですよ」と説明されてしまうと、
その目印が持つ重要性、若しくはありがたみを実感できない。
その結果自分で能動的に目印を置く事が出来なくなるのだろう。

複数のコーナーを集中的に攻めるこのセクション別攻略で、
先程から感じ始めていた迷いはさらに加速してゆく。
「そのコーナーを曲がれる速度までブレーキやり切りましょう。」
「曲がっている間のハンドル操舵角と速度は一定でいましょう。」
「コーナーの頂点を過ぎたらハンドル操舵角の戻りに合わせて加速。」
これが今までの自分の感覚である。だが講師の指摘は、
「ブレーキの踏み始め、リリースが早すぎる。」
「フロントタイヤの荷重が抜けてアンダーステアになっている。」
「クルマが曲がる姿勢を作れていない。ロールをキープできていない。」

曲がり始める前にブレーキを終わらせてはダメなのか?
曲がっている間は操舵角一定アクセルキープではダメなのか?
クルマの曲がる姿勢って何だ?ロールって少ない方が良いんじゃないの?
。。。何だか自分の中で意識改革が必要だなぁと思いつつ昼食休憩へ。

レストランにて講師を囲みながらの昼食。ここぞとばかりに色々質問。
「コーナリング中もブレーキを引きずってフロントに荷重をかける。」
「グリップ全体が減速に使われている内から曲がるグリップにふりわける。」
「クルマはロールしなければ曲がらない。曲がり始める前にロールさせる。」
「ロールをキープしていればゼロからロールさせるより楽に曲がれる。」
今までの感覚では「クルマの挙動をなるべく乱さない」という受動的アプローチ。
今行うべき作業は「クルマの姿勢を積極的に変えよう」という能動的アプローチ。
。。。そうか。クルマを思うままコントロールするためアクティブな操作か。
何となく、何となくではあるが、やるべき事はわかった気がする。

コースに戻り、残りのセクション攻略を終える。
参加者一台ずつ3ラップのタイム計測を行い、休憩を挟む。
そこからは先程のパイロンを取り払ってフリー走行。
「パイロンの意味が分かった気がしていただけ」である事を如実に体感する。
パイロンが無いと、どのタイミングで何をすればよいのか分からない。
さらに講師から教わったアクティブな操作が全く出来ない。
頭では分かっているが体がうまいこと動かず、操縦に反映されない。
クルマは極限に攻めた領域、かつ同時にやるべき事が多すぎて手に負えない。
タダでさえ根っからのシングルタスクな自分である。
「嗚呼、もう、ワケわかんねぇ!」状態に陥っていた。

ここに来て、このタイミングで、本人運転、講師逆同乗による全開走行。
「ステア切り遅れ!姿勢作れてないよホラァ!」
「アンダーステア出てる!それじゃクルマ曲がっていかないよ!」
「もっとフロント潰して!フロントタイヤに仕事させなきゃ!」
「次のコーナーまでロール維持して!姿勢まっすぐになっちゃダメ!」
「ツッコミすぎー!こんなスピードじゃオレでも曲がれないよ!」
「一つ一つのアクションがブツ切りだよ!同時に!流れるように!」
「あぁ!だからってブレーキとハンドル同時にやってどうするの!」
。。。笑うしかない。いや、笑いもこみ上げてこない。

自分のクルマにはDSCという横滑り防止・姿勢制御装置がついている。
アンダーステアが出ようが、ツッコミ過ぎてようが、
その電子制御のおかげでコースに居られたのだろう。
もしついていなければ一瞬でコースアウトし壁に激突していただろう。
この瞬間理解した。朝早くから行っている今日の一連の行為は、
「クルマの持つ能力の限界領域でのコントロールが出来ること」
を求められているという事を。気づくの遅!そして出来ませんでしたよ。

一連の課題を終え、各人集合の上最終ブリーフィング。
各人が本日見つけた課題を再確認し、講師からアドバイスを受ける。
自分の受けた主たるアドバイスはこうだ。

「今日の結果でヘコまないでね。」
「モータースポーツを嫌いにならないでね。」

。。。屈辱である。


以降、「ダメ人間のサーキットレッスン体験記総括」に続く。

2008/12/28

ダメ人間のサーキットレッスン体験記その2

当日はサーキット場一番乗り。
今回は何と定員15人のレッスンに参加者5人。濃い内容が更に濃ゆく。
ゼッケンと計測器を受取りボディ左右に張り付ける。
見よう見まねでライト類にバッテンテーピング。

そのうち別の参加者が続々到着。。。うわぁ、みなさんスゴイ装備。
タイヤ・ホイールは別物。シートは当然のようにフルバケット。
うぉ、レーシングスーツに着替えてシューズも専用のものだ。
早くも場違い感が漂い始めた。オレここに居てもいいんですかね。

時間だ。講師を中心にブリーフィング。本日の内容を確認する。
参加者のレベルの違いを考慮し、各々のニーズに沿ったレッスン。
そして兎にも角にもクルマ・自分が無事に帰れるという目標を心に誓う。

ブリーフィング終了後受け取った無線を装着し、全車連なってサーキットイン。
講師のクルマを先頭に追走し、ゆっくりと走行ラインを確認する。
そして講師がピットに戻り、各々のペースで周回走行を開始する。
まずは自分なりの悪癖だらけ走法でフリーで走ってみるのだ。
そこから講師の指導でどう変わってゆくかを体感する起点を作る。

初心者である自分は早い段階でピットに戻り、講師の同乗走行を開始する。
この同乗走行が凄い。まるでクルマが別物になったかのような動きをする。
運転する人間が変わればこうも変わるものか。まるで水を得た魚のよう。
道具とは使い手によってその処理能力・出現効果がまるで変わるもの。
やはりクルマは限り無く「道具」に近い存在なのだという事を再確認した。

フリー走行に戻り、自分なりに走っていた内容から、
少しづつではあるが、講師の走りに内容を変えて行く。
自分の走りと講師の走りのあまりの違いに眩暈を覚える。
全てが違うのだが、自分の感じた決定的な違いはその速度域だ。
あれほどのスピードを出すものなのか。というかアクセル踏むのか。
自分が限界と感じる付近まで速度域を上げてみる。

ここら辺から、自分の中に少しだけ違和感を感じ出していた。
自分が求めていた内容は、このサーキットを自在に気持良く走る事。
先程から行っている行為は、このサーキットをコンマ1秒でも速く走る行為。
方向性が違うと言うのか、手段は一緒だが目的が違うと言えば良いのか、
初めてヘルメットを被ってクルマを運転する閉塞感も手伝い、
違和感はますます強くなっていった。

ただ、今冷静になって考えてみるに、
意のままに走るのもコンマ1秒を削る走りも、
どちらもクルマを確実にコントロールする事が求められるのは事実。
突き詰めれば方向性も目的もその一点に帰結する気がする。
私はこれ以前の問題、土俵にすら上がっていなかったという事だ。
はぁ。。。情けないったらありゃしない。

「タイヤが温まったところでタイヤの空気圧を調整してください。」

しばらくのフリー走行後ピットに戻ってからの指示がこれ。
えっ。。。エアゲージなんて持ってないよぅ。
こういう場に来る者の当然のたしなみという事か。
親切な受講者の方がエアゲージを借してくれた。うぅ、優しいな。
加減速とコーナリング時に起こる強烈なGに全身で耐える辛さは凄まじい。
クッション量が少なく、左右のサポートがしっかりとした、
皆さんのようなフルバケットタイプのシートが必需品という事か。
ロールを押える締め上げたサス、ガツンと効くブレーキも同様。
そうでなければタイムを削るように攻める走りは出来ないよな。

自分が求めていた内容と違うとはいえ、
サーキットでコンマ1秒を削る技術を教わる機会など滅多に無い。
気持を切替え、与えられた課題を攻略する事に集中すべきだ。
手持ちのリソースで出し切れる最良の結果を出すのだ。
ぬぉぉ。。。って、何だか仕事してるみたいだな。
と言うよりもそれなりのマシンなもんでマイペースに走らしてもらいます!
。。。と開き直れる強さが無いだけのヘタレなだけかも知れません、はい。

だが、実は違和感と同時にさらに迷いも感じ始めていた。
何と、以前受けたドライバートレーニング時に教わったドライビングの原則と、
現在講師から無線越しに教わっている内容に真逆のものが存在するのだ。


以降、「ダメ人間のサーキットレッスン体験記その3」に続く。

ダメ人間のサーキットレッスン体験記その1

以前カートでサーキットを走った体験が存外に面白く、
またやってみたいと常日頃から思っていた。
実はあのカート体験から更に薄々考えていた事がある。

「サーキットを思いきり走ってみたい。それも自分のクルマで。」

そう思い始めてからネットで情報を漁り始めた。
グローブ・ヘルメット着用は当然として、
ブレーキパッドは効きの良いものに代えた方が良いとか、
簡単な工具を持ち込んである程度自分でクルマをセッティングしなきゃとか、
どうも敷居の高そうな話がワラワラとヒットする。
そりゃそうだ。。。やはりおいそれと出来る事ではなさそうだ。

と思っていた矢先である。
千葉にあるサーキット場が主催するレッスンを見つけた。
開催事項を良く読んでみると、いろいろ魅力的な事が書いてある。

・クルマはノーマル車両でも可!
・プロのレーシングドライバーが同乗&逆同乗まで!
・全くの初心者から中級者に最適な密度の濃い内容!

全くの初心者でも構いませんですか。うーん、これは良いかも。
持ち物もメットとグローブに簡単な工具とテーピングだけでよいですか。
さらにプロが自分のクルマで限界走行をしてくれるですか。凄いなぁ。
しかもそのプロって人がスゴい。こんな人が講師とは。。。


はぅ!。。。気がついたら申し込んでしまっていた。


以降、「ダメ人間のサーキットレッスン体験記その2」に続く。

2008/12/26

2008/12/24のダメ人間模様

「いい事なんか、なーんもねーよ。」

クリスマス・イブの朝、出勤途中の出来事。
冷えた早朝、足早に歩を進める自分の更に先をゆく、
雪の様な純白のコートを身に纏った小柄な女性。
その足元からコロコロと転がり落ちた白く丸い物体。

これはあの白いコートのボタンではないか?

遠目にもわかる純白のそれ。細かい仕事を施されたボタン。
何とコートと同じ生地で丁寧にコーティングされている。
これと同じものを取り寄せるとなれば、さぞ骨の折れる事だろう。

気づいていないのか、それとも先を急ぐためか、
はっきりと「それ」と分かるのに、誰も拾わない。
基本設計は「いいヒト」であるワタクシは、
何の躊躇も無くそれを拾い上げ、純白の女性に声を掛ける。

オレ:「あの。。。」
純白:「。。。はぃ」(メチャ訝し気)
オレ:「こちら(ボタン)を落されたみたいなのですが。。。」
純白:「え?あ、まぁ。。。すみません。ありがとうございます。」

クリスマス・イブの夜、帰宅途中の出来事。
相変わらず寿司詰めという表現がふさわしいダタ混みの地下鉄。
特に列車の出口付近は我先に降りたいとギラギラした連中が集まる。
ひどいものだ。今日は運悪く出口付近に追いやられてしまった。
こら、オレの肩でメールを打つな。耳元で雑誌をめくるな。

そんな最中、最寄りまであとひと駅というところでそれは起きた。
ギュウギュウ詰めの中、自分の隣で立ち続けていた初老の女性。
いきなり「貧血です。。。」の声と共にその場に崩れ落ちそうに。
そのすぐ前にいた若い女性が驚く。「だ、大丈夫ですか?」
年の瀬とは言えこんな状況だ。具合も悪くなるさ。
若干白々しいが、「どうされました?」と声を掛けるオレ。

若女:「この方が、具合が悪くなったみたいで。。。」
老女:「貧血なんです。降りたい。。。」
オレ:「では次の駅で降りましょう。肩をお貸しします。」
老女:「すわりたい。。。」
若女:「えっと。。。わたし。。。」
オレ:「ワタクシ次の駅が最寄りですから、あとはお任せください。」
若女:「あぁ、すみません。えっと。。。すみません。。。」

基本設計が俄然「いいヒト」であるワタクシは、
若い女性の目的地が次の駅でない事を敏感に察知。
到着と同時に後の事を引き受け、老女をベンチに誘導。

オレ:「具合如何ですか?駅員さんお呼びしましょうか?」
若女:「大丈夫です。暫く休めば大丈夫。すぐ楽になります。」
オレ:「そうですか。それではワタクシここで失礼します。」
若女:「お手数お掛けしました。ご親切にありがとうございました。」
オレ:「お大事になさってください。」

基本設計が間違い無く「いいヒト」なワタクシである。
もちろん駅員に声を掛けないはずは無い。
寒い駅のホームで休んだだけで体力が回復するとは思えないからだ。

オレ:「本人は大丈夫と言ってましたが、それとなく様子を見てあげてください。」
駅員:「わかりました。ご連絡ありがとうございます。」


一日で二度もいい事をした。こんな事もあるものなんだな。
明日はクリスマスだ。今日はイブだ。奇跡には事欠かないさ。
カミサマもきっと見ているさ。ボクにもきっといい事あるよ。
そうさ。きっとそうに違いないとも。



。。。なーんもねーよ。



明日、良い天気になりますように。

2008/11/24

2008/11/24のダメ人間模様

「新蕎麦を堪能するばかりか新雪まで堪能(死ぬかと思った)」

キレのある味と口の中から鼻腔に抜ける芳醇な香り。
ツルっと喉を滑り落ち、気がつけば箸は止まらず。
いつも秋になると思いが馳せる。新蕎麦。
今年も11月になってからというもの常に頭からその事が離れず、
ようやく本日になって行く事が出来た。

栃木の山奥にあるその店はとても評判が良く、
時間帯を狙って行かなければ30分待ちは覚悟しなければならない。
天気は今ひとつだったが、おかげで交通量も減り、
かえってスムーズに移動が出来た。
狙いどおりの時間に到着。おぉ、客も疎らで好都合。

時待たずして運ばれて来る五合ほどの新蕎麦と辛めのつゆ。
ガッツリと食べごたえのある大きな野菜の天麸羅。
楽しみにしていた鴨汁は残念ながら売り切れ。
そこで暖かいキノコつけ汁を追加注文。これがまた美味。
日本人である事を賛じつつ、極上の新蕎麦を胃に流し込む。
友人と二人、都合一升の新蕎麦が半時と経たず消え失せる。

でっぷりと腹に仕込んだ蕎麦を消化するには、
静かにゆったりと寛げる椅子と暖かい珈琲が必要だ。
夜は静かに更けゆくが帰るにはまだ早い。
ひと山越えて群馬に赴き、美味しい珈琲を喫す事にした。

友人:「やっぱ雨だとクルマも疎らだね。」
オレ:「良い感じ。この山道入ってから一回もすれ違ってない。」
友人:「しかし雨足が強まって来たね。雨粒デカ!」
オレ:「あぁ、ハイビームにするとヘッドライトの光が反射するから。」
友人:「。。。雨、、、か?これ。。。」
オレ:「。。。と言うと?」
友人:「雪じゃね?」
オレ:「いやいやいや。今年は早いらしいがまだ11月だし。」
友人:「クルマの屋根に当たるカンカン言う雨音がしなくなったよ?」
オレ:「。。。あぁ確かに。カンカンでなく、サクサク言う感じ?」
友人:「にしてはバンバン降ってない?見た感じ。」
オレ:「そーねぇ。道もうっすら白ーく色づいてる気が。。。」

。。。ん?
。。。ん?
。。。ん?

--
しばしの沈黙の後、突然後輪がズルっと滑り出す。
--


友人&オレ:「雪だー!雪だこれーー!」


三十路越えした珍獣二匹、車内で大パニック。
これでもかというくらい「ヤッベー」連呼。大声出しまくり。

オレ:「ヤッベー!誰もこの道通ってねー!新雪てんこもり!」
友人:「タイヤは!?スノータイヤよな!?」
オレ:「んなわきゃねーぢゃん!夏タイヤ以外履いた事ねー!」
友人:「ヤッベーぢゃん!すべってんぢゃん!」
オレ:「ヤッベー!すっげー降ってるし!どんどん雪深くなってるし!」
友人:「群馬はあきらめろ!!どうせスパゲティなんか腹一杯で喰えねぇって!」
オレ:「いや、群馬のスパゲティはハンパ無く美味いんで別腹だが。」
友人:「別な所で冷静になってんじゃねぇ!早く引き返せ!」

急勾配の山道、ズルズルとクルマが滑べり落ちる恐怖、
そんな極限状態に耐えながら必死の思いで転回し、
来た道をひたすらゆっくり、ただひたすらゆっくり戻る。
ようやくたどり着いた街道沿い。
吸い寄せられる様に入ったモスバーガー。
薄い珈琲を震えながらすする。命ある事を実感しながら。

「栃木の山道さバカにすんでねぞ。」
明日、良い天気になりますように。

2008/11/05

2008/11/05のダメ人間模様


「ドライアイ体質かと思いきや、その全く逆(ここでもか)。」

バイクに乗るにはヘルメットをかぶらなければならない。
ヘルメットのシールドの大敵はくもりだと思う。
自分の場合、シールドの奥にさらにメガネも存在する。
シールドのくもりは走行中何とかなるが、
その奥のメガネのくもりは如何ともし難い。
どうしてもメガネが邪魔で仕方がないのだ。

そこでバイク納車と同時にハードコンタクトを購入。
だが、そのあまりの異物感と眼の乾きに閉口。
特にバイク乗車時などはたまったものではない。
コンタクトを装着した眼を見開いて大型扇風機に向かっているようなもの。
自宅の洗面所に片目を流してしまった時「これでやめられる」とホッとした。

しかし、メガネの無いすっきりとした開放感にも似たあの感覚は、
一度体験するとどうしても戻りたくなる。とても良いものだ。
なので装用感が軽いソフトコンタクト、
しかも手間要らずの一日使い捨てを試してみた。

「着けてる感じがしないの!」。。。ウソだ。
「すごい!一日中潤ってる!」。。。ウソだ。
「眼の健康にも良いんだよ!」。。。ウソだ。

なんだよ、この眼にベッタリと貼り着いている感。
なんだよ、この蒸発が見えるかのようなショショボ感。
なんだよ、ものもらいが多発するほど不健康ぢゃないか。

なのでバイクを降りた今でも、また暫くメガネ生活が続く。。。

が、折角挑戦したコンタクトでもあるし、あの開放感は代えがたい。
当時から考えればソフトコンタクトもだいぶ進化したようだ。
装用感がとてもよいと評判のなんたらモイストを試してみた。
そして、早速ものもらい再発。笑える。

DR:「。。。確かに、まぶた腫れてますね。」
オレ:「えぇ。ボクはコンタクトがダメな体質なんでしょか?」
DR:「良く診てみましょうね。」
オレ:「。。。どんなもんでしょう?」
DR:「。。。なるほど、マイボーム腺機能過多ですね。」
オレ:「。。。マイボール?なんですと?」
DR:「端的に言うとあなたの眼は潤いまくってます。脂で。」
オレ:「あぶらっすか??」
DR:「脂は誰の眼にもあって、瞳を乾燥から守っているんですよ。ですが、」
オレ:「ですが??」
DR:「あなたの場合、普通のヒトより脂出まくってます。」
オレ:「それじゃぁ何でこんな目に??(眼だけに)」
DR:「コンタクトがあると脂が循環せず目玉の上に滞留するんです。」
オレ:「はぁ。」
DR:「その滞留する大量の脂の上に小さなゴミが貼り着いてしまうんですね。」
オレ:「へぇ。(大量って言うなよ)」
DR:「裸眼なら循環して流れていくが、大量の脂で貼り着いたままになり、」
オレ:「。。。(だから大量って言うなや)」
DR:「まぶたが炎症を起こしてしまうわけですね。大量の脂のせいで。」
オレ:「。。。」
DR:「どうしました?」
オレ:「。。。あぁいや、それってどうにかなるもんなんですか?」
DR:「頑張って痩せる事ですね。」

--血の叫び、ここから--

うぉー!
ここでもかぁー!
ここでもかぁー!
うをー!

--血の叫び、ここまで--

明日、眼の上の痛痒さと腫れが少しでも治まっていますように。

追伸1:
「ものもらい」を関西では「めばちこ」と言うのを西の同期に教わった。
「鳥肌」を「さぶいぼ」と言うのを知った時以上に新鮮だった。

追伸2:
先週ここを参考にビルドした Enlightenment DR17 が意外に軽くてイイ調子。
日本語表示がトーフ状態で怪しい箇所もあるが、
メインのウィンドウマネージャとしての使用には問題無さげ。
しかし何故か Eterm の背景が透過しないのが笑える。E なのに。

2008/09/03

2008/09/02のダメ人間模様

「突然火傷跡が化膿、いきなりの大手術(局麻有)」

以前の尻の火傷だが、意外なほど深手であった。
火傷に気づいたのが温かい温泉に浸かった後というのも悲惨だ。
火傷は出来るだけ早い段階で患部を徹底的に冷やす必要があるのだが、
温めとるやんけ。温めてはいかんよ、温めては。
温泉自体はとても素晴らしいものだったのだが。

翌日激痛に耐えきれず恥を忍んで医者に診せに行った。
その火傷も、もう直りかけており瘡蓋になっていた。
だが患部が突然化膿した。何の前触れも無く。

実は自分、こう見えて、大方の予想に反し、肌がとても弱い。
大概の絆創膏にかぶれる自信がある。
うるしなど触ろうものならかぶれるを通り越してただれるだろう。

そんなデリケートなお肌の持ち主であるこの自分が、
何度も何度も患部を消毒し、膏薬を塗り込み、
その都度ガーゼと絆創膏を貼り続けていたわけである。
かぶれないはずがなかろうというものだ。
実は化膿が始まったのは火傷の患部ではなく、
かぶれた箇所がただれ、ついに化膿へと突入し、
元々弱っていた火傷の患部に飛び火した様だ。情けない。

前日は何ともなかった問題の箇所、
朝になってみると自分自身でドン引きするほどの腫れと激痛。
当日はどうしても午前中仕事場にいなければならない理由もあり、
午後になってから健康保険組合が運営する診療所に足を運んだ。

DR:「どうしました?」
オレ:「実は恥ずかしい話ですが。。。」
DR:「皮膚科に恥ずかしがらず来るヒトなどそうはいない。さぁ。」
オレ:「『さぁ』?。。。あ、まぁ、尻の一部が例え様の無い痛みで。」
DR:「遠慮は要らん。みせてごらん。さぁ。みせてごらん!」
オレ:「ぃ、いや、そんな積極的にみせる気になれなぃ。。。」
DR:「。。。こ、これわ!どぉした事だ。。。?」
オレ:「ぁ、これはですね。実はカートに乗って火傷。。。」
DR:「いや!何も言わんでいい。。。いろいろあるんだろ。。。?」
オレ:「はぇ?」
DR:「君にもいろいろある。私にだってあるんだから。」
オレ:「何の話です?」
DR:「兎に角これは切らなきゃダメ。すぐに手術だ。」
オレ:「ぇえ?手術ゥ?」
DR:「大丈夫。麻酔するから。」
オレ:「麻酔しない手術あるんすか?ってかそんなに悪いすか?」
DR:「さぁ脱げ!すぐ脱げ!今脱げ!ここで君の下半身を露にしろ!」

医師モノスゲー押し。凄まじい勢いで下半身丸裸でその場にうつ伏せ。
以前腕の手術でくるまった、布だか紙だか謎な青い繊維をかけられ、
手早く患部を消毒されキシロカインなる薬液をたっぷり注入される。
次第に薄らぐ痛み。と同時に切開される患部。そして揉みしだかれる尻。

なぜかやる気のみなぎる医師。なぜか声が楽しげな看護師。
そこに漂う不思議な微妙な空気。絶対オレを疑ってる。
この傷跡が何らかのプレイの爪痕であることを。
はぁぁ、尻も痛いが心も痛い。
そして、かくも尻に打つ局所麻酔がこんなにも痛いとは。

明日、普通に椅子に座れますように。

2008/07/13

2008/07/12のダメ人間模様

「カートのエンジン熱で尻に火傷を負う(浅達性レベル2※)」

ここは日本のキングダム・オブ・スパ鬼怒川の程近く。
彼の地に「タイムトライアルサーキット」という名の
熱いバトルフィールドが広がっていようとは、
誰が想像出来ただろうか。いや、誰も出来なかった。

この地に降り立つドライバー3名。
彼らの目を見よ。例えるなら猛禽類のそれ。
いや、既に虎の域に達しているか。アイオブザタイガー。
もはや彼らはドライバーにあらず。
言うなればこのバトルフィールドを駆け巡る戦士(ソルジャー)。

そして彼ら三銃士を結びつけるは「三十路の絆」。
ロストジェネレーションと貶められ、
脊髄反射で生きている上役に押さえつけられ、
創造力のかけらも無い指示待ち要員に悩まされ、
それでも尚、守るべき女達に、愛する男達に、
何かを賭け何かを残そうと必死にもがき、挑み、足掻く。

そんな彼らの今日の敵はまさに「自分」。
「オレはどこまでやれるんだ?オレは一体何者だ?」
今まで築き、磨き、積み上げてきた全てを己に向ける。
その迸る戦慄の火花が今、混沌の闇に一閃を放つ。

三銃士が一人、巨神兵にはその体躯を受け止めるマシンがあてがわれた。
巨大なそれはまさに専用機。例えるならシャアザク(青かったけどな)。
スターティンググリッドにマシンを向ける時、巨神兵は気づく。

「尻の肉が。。。シートからはみ出ている。。。」

あらゆる設備、あらゆる施設が彼らにはミニマム。トイレですら。
そうなのだ。「こっち側」の者には馴染み深い事象。
しかし戦いを放棄することは決して出来ない。
あらゆる規格を超えた域に存在する事こそがアイデンティティ。
戦闘の放棄は己の存在そのものを放棄するに等しいからだ。

戦いの始まりを意味する一声は「ゴー」(ホントは「どうぞ」だけど)。
その一声が彼の地に木霊すると同時に雄叫びを上げる尻の火の玉。
コースを攻めるにつれ加熱するエンジン。それはもはや過熱の域。

「熱い。。。熱い。。。熱い。。。」

それは周を重ねる毎に高ぶる彼の思いか、それとも尻か(尻だ)。
トライアル一周を終えるたびにグリッドに付け、タイムを確認する。
そして一際大きく響き渡る「ゴー」(ホントは「どうぞ」だけどな)。
その響きが轟く度に、重くのしかかる尻への重圧。
巨神兵は戦闘を有利に運ぶべく、次のグリッドでマシン交換を望む。

オレ:「あの。。。尻が熱いです。。。」
GD:「そうですよねー熱いですよねー。」
オレ:「あの。。。マシン。。。」
GD:「どうぞ!」

無情にも次の戦いの狼煙はすかさず上がった。
アクセルを蹴り込み、己の代わりにマシンに悲鳴を上げさせる。
徐々に縮まるタイムと同時に、戦闘意欲も縮み上がる。
この戦いで負けるわけにはいかない。次のグリッドでは必ずや!

オレ:「あの。。。マジで尻が。。。」
GD:「どうぞ!」

もう、この戦いは誰にも止められない。
もう、己自身を軽量化するしか術は無い。

ボロボロの巨神兵はついに戦い抜いた。
戦いの先にあったもの。それは名誉の火傷(右臀部)。
カートに栄光あれ。0.1t の巨躯に栄光あれ。

※浅達性レベル2
表皮・有棘層、基底層まで到達し、水疱、発赤、腫れ、湿潤を伴う火傷。
強い痛み、灼熱感、知覚鈍麻を引き起こす。

2008/07/03

2008/07/03のダメ人間模様

「とんかつにグレープフルーツ果汁をダダがけする(生涯二度目)。」

先週、今週と東京ビッグサイトにて特定業界向けの展示会が実施された。
特に今週は医薬系サポート製品重点展示イベントのため、
我らが事業部も臆面もなくブースを出展し、
ベストマッチする(と社内のみでもっぱらのうわさ)の
自社ソフトウェア製品群をあつかましくもアッピールする。

そのヘルプに駆り出された開発部隊のワタクシは、
脇の下までスリットの入った衣装(おべべ)を着たイベコンねぇちゃんに混じり、
「いらっさいませITいかがですか」と意味不明な台詞で呼び込みを行っていた。
その何かに釣られた残念なユーザ様をブースへ連れて行き、
マターリとゆるーいデモンストレーションをお見せする。
ときおり発せられる鋭い質問をノターリとかわし、名刺もらってさようなら。
嗚呼、恥ずかしい恥ずかしい。

先週も今週も朝からずーっと立ちっぱなし。疲労はピーク。
そんな状況を打破すべく、すこしでも楽しみを見出すべく、
昼飯にとんかつをガッツリ食す事にした。
「やはり喰いか。全く残念な男だ。」
という声が聞こえて来そうだ。オレもそんな自分を残念に思うよ。

運ばれてきた芳醇な香りを放つ黄金色の右上に見慣れた黄色いフルーツ。
その美しく整形された柑橘果実を見れば誰もがレモンと思う事だろう。
だがそれは違っていた。ブジュっとしぼった感触がその事実を物語る。
勘違いかもよ? もしかしたら熟してなくて意外とイケるかもよ?
と自分を鼓舞してみたものの、放たれたフルーティな甘い香りがそれを否定する。

嗚呼、残念でならない。嗚呼、うなだれるしか無い。
肉体的にも精神的にも疲れ、そろそろ人生にも疲れを感じ始めた。
明日はおいしいお昼御飯にありつけますように。

追伸:
足が棒のようだとは良く言ったものだ。
立ち仕事をしているヒトを本当に尊敬する。

2008/06/27

2008/06/26のダメ人間模様

「ユーロ2008にて、歴史的名勝負を見逃す。」

朝は大概ニュース番組を見ているものである。
以前は何の躊躇も無く「おはスタ」とか見ていたが。おっはー。

アナ:「次はスポーツ、サッカーユーロ2008準決勝の情報です。」

そう。今まさにヨーロッパではユーロ2008が行われている。
ヨーロッパのナショナルチームがガチで激突。
まさに「南米のいないワールドカップ」である。
我らがドイツ代表ももちろん決勝トーナメント進出。
そして天下無敵のフィジカルサッカーを臆面もなく行使する。
ほぼドイツ代表である自分が燃えないはずがない。
ドイツ代表の試合はほぼオレの試合であると言っても過言ではない。
絶対に見逃さない。見逃せるはずが無い。

アナ:「準決勝はドイツ対トルコですが。。。」

そう、今回のトルコは勢いが凄い。
グループリーグから奇跡的な勝ちを連発。
準々決勝クロアチアとの試合も凄かった。
延長戦で一点差の試合をロスタイムで同点に戻し、
その勢いのままPK戦で勝利をもぎ取った。
まさに「ミラクルターキー」である。
ヘタすると我がドイツ代表も危ないのではないか?
いやいや歴史と伝統のフィジカルサッカー。
潰して畳んでネジ伏せる、質実剛健鉄血サッカー。
勢いだけで勝てる様な相手ではない。
いずれにせよ絶対に見逃さない。見逃せるはずが無い。

アナ:「たった今結果が出ました。」

。。。え?

アナ:「歴史的とも言える名勝負となりました。」

。。。え?

アナ:「後半2対1から終了直前にトルコが同点。」

。。。え?

アナ:「しかしロスタイムにて巻き返し、壮絶な試合を制したのはドイツでした。」

ふぅ。。。いやいや、え??

アナ:「詳しい試合内容は、このあとすぐ!」

よし!いやいや。。。えぇ??
ほぼドイツ代表。。。えぇ??

ドイツ代表が優勝しますように。

2008/06/05

2008/06/05のダメ人間模様

「入門系技術雑誌を読み、2ページ目にして挫折。」


Ruby というプログラム言語がある。
自分はこの Ruby というプログラム言語が好きなのだ。
なぜ好きなのかを冷静に分析した事はあまり無いのだが、

テキストエディタと ruby コマンドがあればイケてしまう手軽な所。
感覚的にプログラミングできる(様な気がする)所。
B-Shell Script に感覚が似ている所。
(他人に使ってもらえる雑プロを自分が初めて作る事が出来たのが B-Shell だ)
以前から感じていたオブジェクト指向への抵抗を払拭してくれた所。
Web アプリケーションへのアプローチに対するひとつの形を示してくれた所。

多分、こういう理由からなのだろう。
まさに「Ruby に首ったけ!」なのである。
(キャメロン・ディアス、割と好き。口の形とか。)

最近「執筆陣がスゲー」とオレンジニュースでも取り上げられた、
「まるごと Ruby!」という雑誌がようやく創刊された。当然買う。読む。
で、読み始めて2分後の出来事である。2ページ目の文章である。

「しかし、Ruby では、Java の制御構造と同じような平易な書き方で、
『呼び出されるメソッドが呼び出すメソッドを伴うメソッド呼び出し』
が書けるという点こそが、Ruby の特徴のひとつなのです。」

。。。意味わかんねぇ。
。。。分けわかんねぇ。

『呼び出されるメソッドが呼び出すメソッドを伴うメソッド呼び出し』

これ主語は何?
『呼び出されるメソッドが呼び出す』何ですって???
それとも、
『呼び出されるメソッド』が何をするって???

。。。明日の自分が、今日より少しでも生産性が上がっていますように。

2008/05/18

いつぞやのダメ人間模様(2008/03)

「深夜寒空の元、三人がかりの職務質問を受ける(ボディチェック付き)」


映画は真夜中の映画館で見るに限る。
客のほとんどいない快適な環境で当日封切りの映画を見終え、
例によって例のごとく映画館を後にしたのが午前四時前の真夜中。
関西風の出汁で食べるうどんを24時間営業で出す店を知っている。
かけうどんは関西風の出汁で頂くのが旨い。ちょうど小腹も空いている。

そのうどん屋は映画館のある台場からは少し遠いのだが、
車数の少ない深夜でナビを頼りに最短ルートを辿れば時間もかかるまい。
映画館の駐車場からクルマを出して湾岸道路に入り、
すぐの角を曲がってハザードを焚きつつ停車させた。
純正のナビは走行中に操作が出来ない仕掛けが施されている。
安全のためとは言え不便極まり無い。

うどん屋の名前をたよりに行き先の検索をしていると、
激しく揺れ動く赤い閃光がルームミラーに写った。
愛車に装着されたレーダー探知機がそれと同時にうなりを上げる。
「取締り注意!取締り注意!」※1
国家権力の象徴である黒と白のツートンカラーに赤いパトライトが、
黄色く点滅する自車のすぐ後ろにものすごい勢いで付いた。
それと同時にものすごい勢いで飛び出して来る制服を着た三人の人影。

「何?オレ何かした?」

制服の持つ凄みを効かせ小走りに近づいて来る彼らを目にし、
そう思ってしまった時点で私の負けである。
(普通は「何かあったのかな?」と思うのが自然なのだろう。)
探知機のディスプレイが仕込まれている灰皿のフタを閉め、
争うつもりは無いという意志表示を込めてウィンドウを降ろす。
この時間パトカーに乗って巡回している警察官は、
大概茨城なまりの残るすこし声の高い男と相場が決まっている。
(我ながらものすごい偏見だ。負け惜しみとも言う。)

警A:「どぉしましたぁ?」(やっぱり声が高い)
オレ:「いやぁうどん屋でも行こうかなとナビいじってた所ですぅ。」
警B:「でもずいぶん遅い時間ですよねぇ。今まではどちらに?」(もっと声が高い)
オレ:「そ、そこの映画館でレイトショーを見てたんです。」
警B:「こんな遅くに映画なんてやってるんですかぁ?」
オレ:「えぇ。半券ありますよ。その映画をみたためにうどん屋でもと。」

「ずいぶん遅い時間」という言葉がプレッシャーとなる。
この時間にクルマを停めて車内でカサコソやっている自分は、
何か怪しいと疑われて然りだ。常識的に考えても。端目から見ても。
自分がいかにこの未明の疑義を晴らすため焦りの言動を興じていたか、
深夜映画の半券を警察官に見せるところなどから伝わるだろうか。
映画とうどんとの因果関係も支離滅裂だ。
うどんを食べに行くのはお腹が空いたためであって映画を見たためではない。
何もしていないので動揺する事など皆無であるはずなのに。
なかなか立ち去ろうとしない彼らに思い切って尋ねる。

オレ:「な、何かあったんですか?」
警B:「いや、そういうわけではないんですがねぇ。」
警A:「。。。ナイフ持ってたりしませんよねぇ?」
オレ:「ナイフ?ナイフってあのナイフ?」(他にどんなナイフがあるというのだ)
警A:「えぇ。ちょっとクルマの中調べさせてもらってもいいですかねぇ?」
オレ:「あぁ、いや、いいですけどナイフなんてありませんよ?」
警A:「ま、形だけですから。トランク開けてもらえます?」

車内の捜査に形だけもへったくれもあるものか。
普段からトランクへ入れる程の荷物などほとんどあったためしが無く、
たまの買い物等で大きい荷物となる場合も出し入れは常に独りで行うため、
トランクは必ず外から開けていた。つまり車内からの開け方を知らない。
このクルマに乗り換えて車内からトランクを開けた事が一度も無いのだから。
今思えばトランクを開けるためにここで降りたのがまずかった。
一言も発さず傍らに待機していた警察官Cがこの隙を逃がすはずも無かった。

警A:「。。。大丈夫そうですねぇ。不審なモノとかはありませんね。」
オレ:「ありませんありません。不審なモノ。」(いっぱいいっぱいだオレ)
警B:「これ BMW ですよねぇ。けっこうスルんでしょう?」
オレ:「いやいや速くないですそんな。BMWで一番ちっこいやつなので。」
警B:「速い?いやぁ、値段の話ですよ?」
オレ:「はぇ?いやいや高くないですそんな。中古だし。一番ちっこいし。」
警A:「ホントは速いんでしょ?確か3Lのエンジン積んでる奴でしょこれ?」(バレてる)
オレ:「いやいや速くないですホント。一番ちっこいんで。」(一番ちっこいを必死に連呼)

助手席に同乗していた友人に後から聞いたのだが、
このやりとりを行っている間警察官Cは車内に乗り込み、
グローブボックスからサイドボックスからドアポケットから全てを開き、
隅々まで隈無く懐中電灯を当てつつ調べていたそうだ。
そして彼はとうとう備え付け灰皿のフタを徐に開き、
「取締り注意!取締り注意!」※1
と捜査をしている間中ずっと金切り声を上げていた装置にたどり着く。
そして運転席に戻って事の次第を眼の当たりにした自分に、
取締りしている相手に取締り注意と叫び続ける物体を指さし尋ねた。

警C:「あのぉ。。。これ何ですかねぇ?レーダー探知機ですか?」
オレ:「あらぁ、なんだっけそれ?わかりません。」(わからないはずが無かろう)
警C:「これどう見てもレーダー探知機ですよ?自分で付けたんですか?」
オレ:「いやぁ、よくわからないです。初めから付いてたので。」(苦しいぞ)
警C:「これ灰皿に埋まってますよね。オプションか何かで付けられるんですか?」
警B:「これもけっこうスルんじゃないですか?」(何でも値段が気になるのか)
オレ:「それもよくわからないです。中古だったので。」(たのむもう聞くな)
警A:「こういうのどっかで売ってるんですか?どんくらい効くんですか?」

鬼の首を取った様な質問に攻防を繰り広げる空疎な時間を暫く過ごし、
納車当初から装着されていたので良く分からないものなのだが、
取り外すとなると輸入車のため工賃がベラボーに高いので、
運転に支障は無いからそのままにしているという理由で納得させた。
今までの一部始終をパトカーの中で待機する警察官Dが見ている事は知っていた。
きっと無線でナンバーを照合していたのだろう。その無線を拾い続けていたのだ。

その後免許証のチェックを受け、ポケットの中身を全て出させられ、
最後はバンザイをさせられ全身澱み無くベタベタと触られた。
ドラマや映画でしか見た事の無いボディチェックを初めて見た。っつかされた。
彼らの最後の言葉は「たまにいるんですよ。ナイフ持ったヒト。」

自分は彼らの眼にナイフを持ち歩く様な人物に映ったのだろうか。
自分は彼らの眼にものすごく挙動不審な人物に映ったのだろうか。
自分は彼らの眼にものすごく悪い事してそうに映ったのだろうか。
そんな自分にものすごく悲しくなった出来事であった。
明日は今日よりもう少し優しい自分になっていますように。国家権力マンセー。

※1
以下の意。誰が何と言おうと以下の意。
「近くで取締りをやってそうな緊急車両がいるっぽいので邪魔にならぬ様注意せよ!」

2008/05/03

2008/05/02のダメ人間模様

「小雨降る中、限界の向こう側を覗く。」

所属するグループがフロアを引っ越す事になり、
本日 17:00 よりその大騒ぎを決行する事になった。
所属するネットワークセグメントが変わりアドレス環境も変わるお祭りである。
以前のフロアでは素晴らしい管理者のおかげで混乱など皆無だったのだが、
今回は社内インフラを取り仕切るナントカ技術部の管理下に収まる事となり、
事前に送付されて来た手順書のあまりの意味不明さにあちこちから洩れる
「これは手順書なの?」
「私は何をすれば良いの?」
「『設定して下さい(設定は不要です)』という文章はどう解釈すればいい?」
「『設定して下さい』と『設定されている』が別内容で交互に現れる。その心は?」
といった溜め息にも似た発言を聞くにつけ嫌な予感を沸沸と感じていたが、
全く持って予感通りの「期待外れ」であった。

怒のつくハマり様が 21:00 を過ぎても続き、
ネット接続はおろか社内開発環境への接続すら満足に行かないまま、
これ以上の作業は無駄と判断し退却した。退却魂は大切だ。
この混乱の根源であるナントカ技術部の一切悪びれる様子の無い様を後目に、
打ちひしがれる様にその場を後にした。
そう、オレは疲れていたのだ。


オレ:「雨がこれ以上強くなる前に帰ろう。」

その前に済ませて。。。

先輩:「お、お疲れ。今帰り?遅いね。雨ん中一緒に帰るか?」
オレ:「お疲れス。遅いスね、お互いに。」
先輩:「どうせ独りメシだろ?一緒に晩メシ喰って帰ろうや。」
オレ:「あれ珍しいですね。奥様がご飯用意されてるのでは?」
先輩:「GWなんで昨日から実家帰ってる。」
オレ:「一緒に行かれなかったんですか?」
先輩:「ぅ、うんまぁ。。。」

。。。ぁぅ、深く聞かんとこ。

オレ:「ぢゃ、駅そばにカレー屋が出来たんで、まるっとひと呑みして帰りましょ。」
先輩:「カレーだから。呑み物ぢゃないから。」

店か、駅で済ますか。。。

先輩:「。。。でさぁ、そういう場合さぁ、やっぱエンジニアって。。。 」
オレ:「えぇ。はい。そうですね。そうですよね。確かに。。。」

話盛り上がるなぁ。。。
カレーも来ちゃったし、いまさら離席は不可能だな。

先輩:「ヤベっ電車無くなる。急ぐぞ!」
オレ:「マジっスか?走るっスか?」

あぁ、これで店でも駅でも無理か。。。
最寄り駅で済ますくらいなら家まで我慢しよ。ギリ間に合うだろ。

AD:「あの、すいません。止まって下さい。」
オレ:「。。。何かの撮影ですか?」
AD:「はい、あちらから女の子が走って来るので、それが終ったら。」
オレ:「。。。かなり限界なんですよね。。。」
AD:「げ、限界?」
オレ:「家すぐそこなんですが。。。ダメっスか?」
AD:「あぁ。。。はい、そうなんです。すぐ済みますので。」
オレ:「いゃもう。。。コンニチハしてそうな感じで。。。」
AD:「あ、そこ通りますんで。」
オレ:「ぁいや、聞いてます?」
AD:「えぇ、ちょっとそこ邪魔になりますんで。すみません。」
オレ:「あうぅ。。。」
AD:「お静かにお願いします。」
オレ:「おごぉ。。。」
女優:「タッタッタッタッタ。。。」
オレ:「ひぎぃ。。。」
AD:「ハイ OK です。」
マネ:「はぁい◯◯ちゃんお疲れー寒いよねぇ冷たいよねぇ絶対OKだよ今の。」
監督:「もいっかあぁぁい!(かなりイライラ)」
AD:「。。。あぁ、今のうちですんでお通り下さい。」
オレ:「。。。」

小雨降る中、次第に細くなる意識の先に、お花畑が見えた気がした。
小雨降る中、力強く堂々と走り抜けたあの若い女優さんが有名になりますように。