2007/11/28

2007/11/27のダメ人間模様

「店で一番高い料理が、激マズ。」

それはある意味衝撃的な出来事だった。

足繁く通っていたわけではないが、
仕事帰りに夕食を取るため、たまに寄る中華屋がある。
リニューアルして間もないその店に今日は久しぶりに寄る事とした。

新メニューだろうか、「黒酢黒糖スブタ」という文字が踊っていた。
世間においてスブタという料理は微妙なポジションの様だが、
自分は決して嫌いではなく、むしろ積極的に食したいと考える。
トロっとした餡にカリカリに揚げた豚肉が絡み、
ゴロっとした大きめの野菜と共に口に放り込めば、
中華を味わう幸せを噛みしめる事が出来る料理である。

そんなスブタだが、黒酢や黒糖を使用したものにお目にかかった事は無い。
しかし白飯のおかずとしてもかなりの上位にランクするであろうこの料理、
間違いは無いと思った事が間違いだった。

他の料理より明らかに時間がかかっているところから嫌な予感はしていた。
ブツが運ばれて来た瞬間にそれは確信へと変わった。

。。。ツンと来るという言葉では足りない程の強烈な酢の刺激臭。
それに覆い被さる様にやってくる黒砂糖のどんよりとした臭み。
予想していた事ではあるが餡は見慣れた赤みがかったものではなく、
限りなく黒、いや、黒というより焦げ色と言った方が正確か。
大きめに切った野菜など見る陰も無く、あるのは肉と丸のしいたけのみ。
だが、食べてみれば意外に美味溢れる魅惑の一皿かもしれんと思い、
思い切って箸を手に取り、おもむろに口にしてみた。


マズい。


口に入れると同時に脳天をつき抜けるかのような酢と黒砂糖の臭み。
火が通っていないのかと思える程ぶよぶよと弾力のある豚肉。
スブタの肉をかじった時の幸せの瞬間「カシュじゅわぁぁ」が一切無い。
それどころか揚げた肉の衣が箸で掴んだだけでベロベロと剥がれて行く。
そのうえ激烈に甘い。マロングラッセを喰ってるのかと錯覚する程である。
白飯のおかずどころか、味もヘッタクレもあったものではない。

とてもプロの料理人が作ったものとは思えない。
とても自らお金を出して食す料理とは思えない。

しかし、戦中生まれの両親より生まれた自分が、
食べ物を粗末に扱う事を凶悪の極みと躾けられた自分が、
眼前の料理を残して立ち去る事など決して出来はしない。

それはバチカン市国の囲みの中で黒山羊の覆面を頭から被り、
「セックスドラッグロケンロー」と叫びながら悪魔崇拝を讃える以上のタブーである。
それは武装したジャック・バウアーの眼前で火を放った星条旗を振りかざし、
大統領の顔写真を踏みしだきながらコーランを暗唱する以上のタブーである。

だが、その鉄の掟は忌まわしきこの皿の半分を食したところで脆くも崩れ去った。
明らかに溶け残りと思われる黒砂糖の固まりが餡の余熱で溶け、
白い陶器の皿にベタリとへばりついているのを目にして食べるのを止めた。
つけ合わせのザーサイで白飯をかきこみ、早々に店を出た。

自宅へ帰る道すがら、いま「メシマズ」が熱い(涙)という記事を思い出した。
明日、世界が平和でありますように。

2 Comments:

Blogger sempreff said...

ふむ、ちと喰ってみたい気もする。
我輩は悪食なので勝てる気がする(根拠なし)。

月曜日, 12月 03, 2007 2:28:00 午前  
Blogger kazufuruk said...

sempreff> 我輩は悪食なので勝てる気がする(根拠なし)。

ぃやーキッツイですよ。
甘くて酸っぱくて熱々のダルダルお肉です。
自分、若干トラウマ入ってます。

それよか美味しいお肉食べに行きませう。
セッティングしなければ>オレ

木曜日, 12月 06, 2007 11:03:00 午後  

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