2009/05/19

ダメ人間外伝「昔取った杵柄であり続けるために」Vol.1

きっかけは Jeff Beck 日本単独公演を見に行った事だった。

彼の演奏にはロックギターのテクニック、気持良さ、カッコ良さ、
いや、「全て」が詰まっていると言っても過言ではない。
彼の放つあらゆるトーンが突き抜けている。
彼こそがエレクトリックギターの天才という名にふさわしい。
ホントに凄いヒトとは存在するものなのだ。

「Jeff Beck は凄い」と思っているヒトは多いが、
「Jeff Beck が好き」と公言するヒトは意外と少ないのではないか。
自分の知っている限り学生時代に一人、社会に出て二人しかいない。

かく言う自分も「好き」と公言出来る程彼の作品を多く聴いてはいない。
代表的なアルバム数枚を押えている程度のものだ。
その中には学生時代ライブで演奏した曲も含まれているのだが、
もの凄く難しくてもの凄く手こずった記憶と、
フルマラソンを完走したかの如き達成感と疲労感しか無い。

なので実は直前まで彼の公演にあまり期待を持てなかったのだが、
演奏が始まるとそんな思いはふっ飛んでしまった。
MC も無く淡々と演奏が進んで行くそのライブには、
正しくこれぞ第一線の、紛う事無き世界最高峰の、
背筋も凍るかと思う程の凄まじいプレイが炸裂すると同時に、
「演奏する楽しみ」のような柔らかく心地よい空気に溢れていた。

このパラドックスは一体何だ?
この激る思いは何だ?
真のエンタテインメントとはこれなのか?
ライブスタートと同時にずっと心の中で叫んでいた。
「たのむ。オレもそこに混ぜてくれぃぃ!」


会場である東京国際フォーラムから帰りの道すがらである。
一緒に見に行った昔の仲間(ドラマー)が徐ら言った。

「オレたちこのままで良いのか?」

その刹那、昔の仲間(ベーシスト)が言い放つ。

「日常に埋没したまま手軽な娯楽に怠惰な時間を垂れ流す事が?」

少し間を置いて、自分(ギタリスト)が空気を切り裂く。

「許せん。何故オレ達はあのステージに居なかった?」(酔ってる)

奇しくもトリオバンドが構成できるメンバーであった。
そうか。そうだよな。キミ達も激っていたのだな。
三人同時だったろうか。激る思いに心を任せ、静かに叫ぶ。


「。。。何でもいい。何かやろう。」


コンセプトはすぐに決まった。
「そのまま演らない(=カラオケバンドニハナラナイ)」
「徹底的に楽しむ(=演奏ヲ義務ニシテハイケナイ)」
そして、「否定しない(=ツマラナイ大人ニハナラナイ)」

自宅に戻った自分は、名演に充てられ火照った顔そのままに、
長い事ソフトケースに仕舞っていたストラトキャスターを手にしたのだった。


三省堂 大辞林より。
「昔取った杵柄(=カツテノ腕前ガ今デモ衰エテイナイ)」

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